潰しあいは源氏の宿命
大河義経でもメインテーマのひとつとなる「親子兄弟、家族の絆」。
兄に迫害され逃避行を続ける義経の悲劇は、約800年も日本人の涙を誘ってきた。
しかし義経の血統、清和源氏(陽成源氏)は代々歴史上の重要事件に深く関わり、身内も含めた形で殺し合いを展開し、人々に恐れられながらその地位を築いてきた。
「八幡太郎は恐ろしや」(『梁塵秘抄』巻第二)
義経の長兄義平は叔父頼賢を、父義朝は父為義や弟たちを、祖父為義は叔父(大叔父)義綱とその息子たちを粛清している。
頼朝も弟義経、範頼、従兄弟義仲とその息子義高、そして源氏の有力な一族を数多く殺している。
人殺しを家業としてきた武家の宿命で、頼朝だけが持つ冷酷さではないようだ。
義経の物語は、その血のなせる悲劇が長い期間を経て、凝縮洗練されたものなのかも。
そしてその後800年にわたり繰り返される日本人の「身内を含めた殺し合い」の歴史に対しての、日本人自体によるアイロニー 【irony】 なのかも。