手作りの味
学校給食の栄養士が替わって、食物素材をそのまま味わうメニューになったら給食を残す児童生徒が増えた、という話を聞いた。
スーパー、コンビニではファストなフードがあふれ、しかも非常に廉価になった。家庭で素材から調理加工するよりも安上がりで便利だ。
手作りにこだわる人は経済的な面からも減りつつある。そんな家庭環境で育つこどもが自然素材のままの給食を喜ぶはずがない。
書店ではあいかわらず料理のノウハウ本が棚を賑わせている。
グッチ祐三や栗原はるみの本は人気が高い。これらは本格的な料理法というより、目先を変えてより簡単で美味しく、というような内容だ。
主婦雑誌の特集なんか見ても食費をいかにして節約するか、といった内容が多い。食物が過剰に供給され、食べることの地位は確実に低くなりつつある。
本格的な料理にこだわって経費をかけるより安価な手作り、そしてさらに手数や光熱費をかけるより安くなった出来合いの食物へと嗜好が移行している。
そのうち料理本を買う人もいなくなってしまうのではないか。
自然食ブーム、健康ブームも安易で安価な食生活には勝てないような気がする。