皇太子殿下の文書

 訪欧前のご発言に対する説明の形で殿下の文書が公表された。
http://www.kunaicho.go.jp/koutaishi/koutaishi-h16gosetumei.html
 明らかに殿下の周囲が作成し、殿下がしぶしぶ追認された内容だと誰もが思う。

 文書の一部に「プレスへの対応」といった文言が見られたが、皇室に関する問題を過剰に取り上げるマスコミに責任を押しつけているような表現だ。
 禁裏の奥深くとあっては、マスコミも国民も、政府さえも微妙な問題なので手出しがなかなかできない。

 開かれた皇室をめざし、欧州の王室等を参考にすれば良いと言われて久しい。
 しかし日本の皇室の場合、存在が奥深くあればあるほど有り難く(文字通り)高貴と受けとられがちだ。皇室が下に降りて、国民にとって身近な存在となることは、皇室の根本的なあり方と相反する。
 そこの所をうまくインターフェースとして調整するのが宮内庁の役割なのに十分機能しているとは言い難い。 言い換えれば宮内庁自体が国民から遊離した存在になってしまっている。高級官僚組織という雲の上の存在として。
 そう有れるのも皇室あっての事なのに。

 貴人はお取り巻きに干されたら、死活問題だし身動きもとれない。
主君「押込」の構造―近世大名と家臣団 (平凡社選書)
「主君押込の構造」という本にその一端が伺える。