来ているはずだ。

 人気の雑誌や書籍の発売日前後になると、お客さんから「本来ているよね。」と尋ねられる。
「まだ入荷していません。」とか答えると、
「もう来ているんじゃないの。隠してないで早く出しなよ。」と言われる。
 書店としては、入荷したら他の店よりもできたら早く売りたいぐらいで、隠しておいてもなんの得にもならない。
 お客さんにしてみれば早く欲しい気持ちと、せっかく足を運んだのに手に入らない残念な気持ちから、隠しているんじゃないか、という疑いが出てくるらしい。
 個人的な恨みでもない限り、そんな意地悪はしない。
 
 あと新聞に出ていたから、必ず店頭に有るはずだから捜せというお客さんも多い。
 話題の本を揃えられない書店側にも非が有るが、たいていのお客さんは自分の求めている本は書店に有るはずだ、という信念でやってくる。
 考えようによっては、書店にとってありがたい話で販売チャンスなんだけど、期待に添えない場合がほとんどだ。申し訳有りません。

 自分も含めて人間って、みんな自己中心的だ。そうでなくては人間やっていけないけれど、いつでもどこでも「世界の中心は、オレだって叫ぶ」わけにはいかない。