ハリーポッターと行列のできる店

ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団 ハリー・ポッターシリーズ第五巻 上下巻2冊セット(5)

 ハリポタからいつも行列のできる店を連想してしまう。これだけもてはやされるともはや異常な状況で、はたして本当に一刻も早く読みたい人がどれほどいるのか疑問だ。

 行列のできる店も、はたしてどれだけの人が自分の味覚に基づいて行動しているのかちょっと疑問だ。各自の嗜好ってもっと千差万別ではないのか。
 確かに「並んで食べたけど、がっかり」といった感想も聞かれるが、行列にほだされ価値観が麻痺している向きが多いように感じる。逆に行列のできる味の方向に自分の嗜好を知らず知らずのうちに合わせているのではないか。



 本を売る立場から「ハリポタで棚ぼた」http://www.yomiuri.co.jp/bookstand/(2004/8/31)はうれしいけど、なにか釈然としない。
 勢いから一定の方向に誘導されているようで。
 
 読者にはもっと多様な嗜好や個性的な感覚があり、本を売る側にはそれを掘り起こす工夫が足りないのではないか。もっと広くて多様な感動的世界への道筋案内を怠っているのではないか。

 そういった面で、現実に本を手にとって見ることのできるリアル書店のやるべき仕事はまだまだあるような気がする。ハリポタはネット書店向けの商品かも。


「7年連続の出版不況脱出の魔法の杖(つえ)に」だけでは駄目だ。これをキッカケとして、本来の好況を形成していかなければならない。