温泉表示疑惑って

 各地の温泉で表示をめぐっての騒動が続いている。入浴剤使用や水道水を沸かしただけとかの批判が相次ぎ、報道も多い。

 当然、温泉関係者からのリークが報道の源泉になっているだろう。
 もともとこのような問題は温泉に携わっている人にとって周知の事実で、なあなあで通ってきたことのように思う。一部の温泉を除いて湯治というよりは、娯楽と遊興の場として、利益を生む商売として成り立っている。

 温泉に来る多くの客も湯治と称し、温泉の効用を理由に酒を飲んだり美味しいものを食べたり、非日常的な楽しみを求めている。楽しむことができれば大抵の「病」?は治ってしまう。

 温泉側も客側もお互いが表看板にしてきた温泉の効用の信頼性が揺らぐと、この関係は成立しがたくなる。
 この際、湯治と娯楽は明確に分けるべきなのかもしれない。
 医療効果のある専門温泉と娯楽施設の付属温泉とに。

 曖昧なタテマエがあるから問題の核心がいつもぼやけてしまう。でも私たち日本人はこの微妙なタテマエとホンネの間に身を置くことに長けている、と同時にその立場を楽しんでいるのかもしれない。
 

 この騒動で一番姿勢が問われるのは、年金不払いや鳥インフルエンザの時のように、問題が起きたら尻馬に乗ろうと同じようなネタを次から次へと書きたてて、社会を煽りたて、責任ばかり追及し、新たな視点や展開を報道せず、熱が冷めたらほったらかしの多くの報道関係者だろう。
 でもそんなだらしない報道を求めて楽しんでしまっているのは一般大衆である私たちなんだけれど。