「本屋発」のヒット
出版社の企画は多分に、時節柄や採算の数字や自社のご都合が見え隠れする。それも仕方ない。大きなプロジェクトには細心の検討が必要だ。
でも一書店規模のささやかな企画や仕掛けは気軽だ。フットワークはきくし、仕入れのリスクも少ない。でもその気軽さが企画を甘いものにしてしまい、ひいては「書店経営は依然、苦しい」原因にもなっている。
ベストセラーは本屋発「いい本」発掘、あの手この手で販売促進http://www.be.asahi.com/20040807/W13/0045.html
は、読者により近い立場を再認識し、新刊本やベストセラーに縛られない入手しやすい既刊本に光をあてる、やりがいのある仕事だ。言ってみれば当たり前のことなんだけれども、多くの現場でこれに注目していなかった。
ではなぜこの当たり前が注目されていなかったのだろう。それは現場の書店員が上ばかりを志向し、ベストセラーや大手出版社の方向ばかりを見ていたからだと思う。
○○万部突破の宣伝や、一発当てた出版社社員の高報酬に眼が眩んでいた。
そして入手しにくいベストセラーばかりを追いかけ、店頭は金太郎飴になってしまった。
お客様のために美味しいものを集めようとして、お客様のためになってはいなかった。 そのことに気がつけば、「本屋発」のヒットも生まれるだろう。
もともと数十万のアイテムがあるといわれる本の世界で、一般にお目にかかれるのはごく一部だ。宝石はいたるところに埋まっている。
っていうか、すべての本は演出しだいで大化けする。