拉致家族の内面

 去年、蓮池透氏の「奪還」が刊行され話題となった。奪還―引き裂かれた二十四年
 復刊された週刊漫画アクションには、この本がコミック化され連載されている。
復刊の目玉と言ったところか。店頭での評判もまずまずだ。その内容では拉致家族の内面の問題が多く描かれ、家族の苦悩がよくわかる。
 しかし、身内の記述なので、客観的とは言えないかもしれない。

 私が思うのは、拉致家族にとって日本、北朝鮮政府や自治体、マスコミや友達や世間への対応はあくまで二の次の問題で、一番の問題は身内同士の心の通い合いだ、ということだ。
あまりにも拉致問題が政治的な側面から取り上げられすぎだと思う。「心のケア」は外向けの建前として扱われて、拉致家族の苦悩は深まるばかりだと思う。
 最近子どもの帰国に備えて、最近一戸建てへの転居がなされたようだが、本当は親子、嫁姑、兄弟間の心の通い合いがうまくいっていないからではないか。
 子どもが帰国しても政府や世間の対応があまりにも的はずれだと悲しい。
 このことは、イラク人質事件でも立証済みだ。