皇太子殿下の思い

 殿下のお言葉が波紋を呼んでいる。
 皇族の言動が世間に影響を与えてしまう様な状況は、皇室関係者にとって極力避けたいだろう。皇族個人が意見や希望を表明する場合は、お取り巻きの監修下にあらねばならない慣わしだ。これは長い歴史の中で培われ定着してきたことで、皇族自身も十分承知している。
 現在の宮内庁官僚も、今までの枠組みの中からなるべく逸脱しないように、前例に沿って大過無く、皇室を運営していきたいはずだ。その事が結局、皇室を守ることに繋がることは否定できない。
 しかし、より開かれた風通しの良い皇室のあり方を模索する努力は怠ってはならないとも思う。もっと諸外国の王室の情報や皇室内部の情報も公開し、国民全体で論議できる場が必要だ。禁裏ではあるが、密室ではいけない。

 私個人的には、歴史を長いスパンで眺めた太古から近代に至る皇室の研究を、専門家の領域に留めず、一般国民も分かり易く勉強できる環境づくりを望む。まだまだ調査研究できないような規制が存在し、禁忌事項が多い。
 様々な方向からの研究が進めば、現在取りざたされている慣わしが如何に矮小なものか、はっきりするだろう。正しいと思っていたものの本質が見えてくる。
 至近にとらわれず、長い眼で歴史を見るべきだ。お世継ぎ問題や女帝問題も然り。

 皇室研究を阻止しようとする勢力が、皇室を衰退させる元凶だと思う。