配達先で「鬼」の話題になる。

おにのはなし (寺村輝夫のむかし話)

 いつも孫に、児童書を沢山買い与えているおばあさんの家に集金に行った。

 聞けば『ウチの孫は4歳なんだけれども、お話の中に「鬼」が出てくると怖がって
ページをとばしてしまう。どうやら「親」が節分の時、「鬼」に扮した姿が凄く怖かったらしい。このままだと不安だ』とのこと。
 さらに、取りあえず「鬼」の出てこない本を選んでくれ、と依頼された。

 「ウイルスチェック」ならぬ「鬼チェック」しなくてはならないのか。



 鬼が怖いという孫も、いつかは「鬼」なんて怖くなくなるとは思うけれども、このような障害を乗り越える事が、人生において意味が大きいと思う。
「鬼」が怖いという状況はむしろ幸いなのかもしれない。

 固定観念に縛られても、後にそれを克服し脱却したとき、一回り大きくなるような気がする。