むしろ徳川慶喜の立場か?

徳川慶喜―将軍家の明治維新 (中公新書) 大政奉還―徳川慶喜の2000日

 小泉首相織田信長に例える報道が散見される。

 首相の愛読書「信長の棺」も好調に売れている。

 私も以前、改革のイメージから首相を信長にダブらせてみたけれど、http://d.hatena.ne.jp/urinin/20050824 最近はちょっと違和感を覚えてきた。

 「私の任期は来年9月までですから。」と首相は強調している。
 これを総選挙で勝った実績を背景にして聞くと言葉の効果は倍増する。

 日本の世論は地位にしがみついて、なかなか辞めようとしない人には厳しいけれど、潔く退く人には甘い。
 実績?を十分上げて、しかも後継者には期待が持てないケースだと、周囲も世論も慰留に転じかねない。



 「大政奉還」を果たした徳川慶喜の場合、政権を返上しても引き受け手がなく、結局自分に政権が戻ってきて、逆に強権を手に出来ると目論んだが失敗した。
 徳川慶喜の資質やその体制は、時流に支持されなかった。



 しかし小泉首相の場合、退くと言っているのに今後の1年間に後継が定まらず、周囲や世論に首班として推されたら、さらなる強力な政府を誕生させてしまう可能性も否定できない。