「女性」の真価
篤姫の生涯より
「もし天璋院なかりせば、徳川家は瓦解のときまったく滅び去っていたかもしれぬ」とは、徳川慶喜の後を継いだ第十六代当主家達(いえさと)の口癖だったという。
天璋院篤姫と和宮より
明治十年のころ、天璋院が和宮を伴い勝海舟の家を訪ねたことがある。共に官軍の江戸城攻撃を防ぎ、徳川家を守って以来、海舟は天璋院のよき理解者になっていた。さて、二人に御膳を出したところ、互いに自分が給仕をするとにらみ合いになった。そこで海舟がお櫃(ひつ)をもう一つ出させ、「天璋院さまのは、和宮さまが為さいまし、和宮さまのは、天璋院さまが為さいまし」と言うと、安芳(海舟)は利口者よと大笑いになったという。「失う一方の二人は、ここにきてようやく心をゆるしあう戦友をみいだしたのではなかったか」
表舞台が男ばかりという極めて異常な「歴史」がいまだに大手を振ってまかり通っている。
大河「篤姫」では(主人公が女性だからといって)形だけではない、無理押しではない、「女」が動かしてきた歴史を描いて欲しい。