親不知、子不知

越後つついし親不知・はなれ瞽女おりん (新潮文庫)

 年の瀬も迫り、運転資金繰りに頭を悩ませる。
 零細企業に対する貸付はあいかわらず厳しい。
 銀行の担当者が鬼のように見える。


 銀行が駄目企業に苦言を呈するのは「大きく育って稼いでくれよ」という「親心」なんだろうか。融資した資金でこどもがすくすくと育てば、上得意先となって利益をもたらしてくれる。
 そんな「親心」を借り手は「貸し渋り」だの「ケチ」だのと毒づいて、他にもっと甘いけれども危険な親を捜したりする。


 「親の叱咤激励」を真面目に受け止め、「親の狡賢さ」ばかりを責めずに経営努力するしかないのか。