空き巣の話
今月に入ってから、あちこちの配達先で「空き巣被害」の噂を聞く。
警察も精力的に聞き込みに廻っているため、噂が噂を呼び「物騒だね」が挨拶代わりに交わされるようになった。
ホームセンターで鍵や防犯グッズを買い求め、競うようにいくつも取り付ける家が増えた。
今日もある家に配達に伺った際、気軽に「ここにも警察が聞き込みに来ましたか?」と訊ねたら、「ウチは空き巣にやられた口。」と告白され驚く。
聞けば、幹線道路沿いを軒並みやられているらしい。かなりの手練らしい。
でも当の「空き巣犯」よりも近所の噂に腹を立てている様子。
「あそこの家は金持ちだから狙われた。」とか「用心が足りない。」とか、人の不幸は蜜の味状態らしい。
何処も近所の噂はえげつないモノだけれども、お互い他人を攻撃して相手をヘコましても、自分が高まることはない。感情のもつれはどんどんヒートアップする。
本当の空き巣被害は「こころ」の内にあるようだ。