百科事典の始末
配達先で古い百科事典をどう処分したらいいか訊ねられた。
重いし、場所はとるしで難渋しているらしい。
百科事典の購入を決断したときは「知識の宝庫」を手に入れる感動も味わったはずだ。
しかし時が経つとその感動もなくなり、事典も邪魔な存在となり、終には処分するにも窮する状況となる。
百科事典を売っていた立場なので何とも言いようがないが、「昔の百科事典、どうしたらいい?」と訊ねられた時は、
「スペースにまだ少しでも余裕が有れば、買った本人が所有し続ける方がいい。」と応えている。
古本でもなかなか値はつかないし、大枚をはたいて買ったのに「二束三文」では惨めな気分になるだけだ。
昔は百科事典や全集を飾る「応接室」「書架」という逃げ場もあったが、今は一般的ではない。珍しい。
百科事典を買った時の「初心」「心持ち」を、リアルで重厚な紙の百科事典は存在感たっぷりに居直って主張し続けて欲しい。
サッと書き込んだり、スッと消去できない、頑固で不変なコンテンツが邪魔にされながら存在していても良いような気がする。
私の場合、安い百科事典を古書で見かけると、つい買ってしまい、床が抜けそうになっている。(ゴミ屋敷か)